Expulsion of runaway electrons using ECRH in the TCV tokamak
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著者
J. Decker, M. Hoppe, U. Sheikh, B.P. Duval, G. Papp, L. Simons, T. Wijkamp, J. Cazabonne, S. Coda, E. Devlaminck, O. Ficker, R. Hellinga, U. Kumar, Y. Savoye-Peysson, L. Porte, C. Reux, C. Sommariva, A. Tema Biwolé, B. Vincent, L. Votta, the TCV Team, and the EUROfusion Tokamak Exploitation Team. 装置
TCV (Tokamak à Configuration Variable) 研究分野の詳細
本研究は、トカマク型核融合装置における「ランナウェイ電子(RE)」の制御に関するものです。REはプラズマ密度が低下して電場が臨界値を超えると発生し、特に大型トカマクでの放電の初期から終息にかけて大きな脅威となります。研究では、中心電子サイクロトロン共鳴加熱(ECRH)を用いて、ランナウェイ電子の排除や抑制の効果を分析しています。 論文の概要
本論文は、スイスのTCVトカマクを用いてECRHによるランナウェイ電子の排除効果を調査したものです。ECRHを適用することで、REの種となる電子の数が大幅に減少し、特定の条件下でポストディスラプションREビームの形成を防ぐことができました。中央領域でのECRHはRE排除に効果的である一方、軸外での適用では効果が限定的であることが分かりました。 何が明らかになったのか
本研究で明らかになったことは、中心電子サイクロトロン共鳴加熱(ECRH)の適用がトカマクにおけるランナウェイ電子(RE)の排除に効果的であり、その結果、REの種が存在してもポストディスラプションREビームの形成を防げることです。具体的には、中心部でのECRHは、プラズマ内の電子温度を上昇させることで電子輸送を促進し、ランナウェイ電子の排除を助けました。ECRHの適用により、RE電流が減少し、RE密度が数桁減少することが確認されました。また、ECRHによってREの輸送と減少が強化されることが示され、特に中心部で適用した場合に顕著な効果が見られました。対照的に、オフ軸でのECRHはREの排除に対して限定的な効果しか示しませんでした。 実験では、REが多く含まれるプラズマにECRHを適用することで、REの密度が最大で三桁減少し、その結果、ディスラプション後に生じるREビームを防ぐことができました。これらの結果は、ECRHがプラズマ中の電気伝導度を高めるため、ループ電圧が低下し、それによりREのアバランシェ生成が抑制され、結果としてREが排除されることを示唆しています。 ECRHの適用で具体的に行われたこと
本研究では、中心電子サイクロトロン共鳴加熱(ECRH)が中心部分およびオフ軸で適用されました。具体的には、84 GHzのXモード偏波を持つマイクロ波を磁場に対して垂直に発射し、プラズマの高磁場側(中心)に加熱パワーを集中させました。実験では、700 kWおよび1400 kWのECRHパワーを適用し、REの動態を観測しました。ECRHの適用により、HXR(硬X線)信号の増加が一時的に観察された後、持続的に減少し、これはREの密度が減少しREが排除されていることを示しています。これにより、放電後のディスラプションが発生してもREビームが形成されないことが確認されました。 また、ECRHの出力と適用位置を変えて実験を行い、中心で適用した場合のREの排除効果が最も高く、オフ軸での適用ではREの減少が限定的であることが示されました。中心でのECRHはプラズマ全体の電子温度を大幅に上昇させ、REの排除に効果的であることが明らかになりました。 分析の内容
1. 実験の概要: 放電#77321では、中心領域に1400 kWのECRHを適用し、ECRHの前後でREの密度や電流の変化を観察しました。この放電は、ループ電圧が一定であった複数のフェーズに分かれ、それぞれの状態でREの生成や損失を評価しました。
2. REの生成と損失:
ECRH適用前は、低密度の条件でREの生成がアバランシェ(連鎖反応)メカニズムによって支配されており、プラズマは「高RE電流状態」にありました。この状態ではRE損失率(ν)と生成率(γA)がバランスを取り、RE密度が維持されていました。 ECRHの適用により、電子温度が上昇し、伝導度が向上しました。それによってループ電圧が低下し、アバランシェによるRE生成が抑制されました。このため、RE損失率が生成率を上回り、RE密度が急速に減少しました。この変化により、プラズマは「低RE電流状態」に移行しました。 3. 結果の要約: 分析によると、ECRHが適用されるとRE密度が3桁減少しました。これは、ECRHによる電子温度上昇とRE損失率の増加の相乗効果によるものでした。ループ電圧が低下することでアバランシェ生成が制限され、RE損失がRE生成を上回るようになったためです。
4. 理論モデルとの一致: 簡単な0次元モデルを用いて、観測されたデータを再現し、ECRHによるRE密度減少の要因を説明しました。ECRHはRE損失率を高め、アバランシェ生成を抑制することが確認され、実験結果と理論モデルの整合性が示されました。
その根拠を示す各図の説明とその理論
https://content.cld.iop.org/journals/0029-5515/64/10/106027/revision2/nfad6c61f1_lr.jpg
図1:異なるTCV放電実験におけるプラズマ電流、ループ電圧、線積分密度、HXR(硬X線)信号の時間変化を示し、ECRHが適用されるとRE排除が進む様子を視覚的に示しています。 https://content.cld.iop.org/journals/0029-5515/64/10/106027/revision2/nfad6c61f2_lr.jpg
図3:700kWおよび1400kWのECRH出力を使用した放電でのRE動態を示し、出力が高いほどRE排除が強くなることを示唆。
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図7:ECRHのラジアル位置が中心(r/a=0.25)とオフ軸(r/a=0.45)の場合の比較を行い、中心での適用がより効果的であることを示しました。
今後の展望
今後は、ECRHがRE輸送を増加させる物理的メカニズムの詳細な理解が必要です。特に、大型トカマク装置でのRE種の排除に対して、ECRHの有効性を評価する研究が求められます。また、他の加熱・駆動方法と組み合わせることで、REの制御をより効果的に行うためのシナリオを検討することが期待されます。 感想
これ自分の直感に反する結果masaharu.icon
ECはREにパワーが入って、REを増やす方向かと思ってた
多分の垂直入射ってのが大事な気がする
並行入射でビーム広げてやってみてくれmasaharu.icon
多分結果変わりそう
分析についてもう少し細かく教えてmasaharu.icon
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「バルク電子温度が上昇することで、ループ電圧が低下する」理由は、プラズマの電気伝導度($ \sigma)と関連しています。プラズマの伝導度は電子温度に依存し、電子温度が上昇すると伝導度も増加します。伝導度は、電子温度が上がると以下のように比例して向上します: $ \sigma \propto T_e^{3/2}
ここで、$ \sigmaが増加するということは、同じ電流を流すために必要な電場(ループ電圧)を小さくできるということです。プラズマの電流はOhmの法則に従い、次のように表されます: $ J = \sigma E
$ J(電流密度)が一定と仮定すると、伝導度が高くなると、電場($ E)が減少します。これは、一定の電流を維持するために必要な駆動力が減少することを意味します。結果として、ループ電圧が低下します。
ECRHがバルク電子を加熱すると、プラズマの電子温度が上昇し、伝導度が向上するため、同じ電流を維持するために必要なループ電圧が低下するのです。この低下したループ電圧は、ランナウェイ電子の生成を駆動する力を弱め、結果的にRE生成が抑制されます。 ひとまず、バルク加熱できれば嬉しい方向ねmasaharu.icon